■筆記試験の心構え
 ここでは記述する上でのポイントだけを示します。このポイントを押さえつつ、自分の経験・思い・気づきを自分の言葉で記述することが重要です。 かならず自分で解答を作成してみましょう。

問題 回答例
「使ってはいけない竹刀」とは、どのような竹刀か説明せよ (1)試合、審判規則に明示されている竹刀の基準以外のものを使用すること。
(2)竹片がささくれたり、折損や亀裂などがあるもの。
(3)中結が切れていたり、先皮や柄皮が破れていたりするなど、付属品に破損があるもの。
(4)規格にあった付属品を正しく使用していないもので、先皮の長さやその直径が基準より小さいもの。
(5)中結を剣先より全長の1/4の位置に固定していないもの。
竹刀の「構え方と納め方」について説明しなさい (1)構え方
 右足をわずかに出して、右手で竹刀の柄の鍔元を上から握り、蹲踞しながら、斜め上から竹刀を抜き、左手で柄頭を握って抜き合わせ、左足を引きつけて蹲踞し、立ち上がって中段の構えになる。
(2)納め方
中段の構えから蹲踞し、左手を竹刀から離して腰にとり、右手で剣先を左上から斜め後方に回し、弦を下にして腰にあて、左手で竹刀を握り、右手は軽く腿の上に置いて立ち上がり、帯刀の姿勢になる。
  いずれも、相手と合気になって行うことが大切である。
「しかけていく技の種類」を3つ以上書きなさい (1)二、三段の技
最初の打ちが失敗したとき、相手にすきの生じた次の部位をすぐに打つ技を2段の技という。
第二の打ちを失敗したらすかさず、すきの生じた第三の部位を打つ技を三段の技という。
この技は一つ一つを正確に、そして打ちと打ちの間が連絡しているように打つことが大切。
成功するまで攻撃する精神が特に重要
(2)払い技
相手の身構えがじゅうんできていて、打ちこむすきががないとき、相手の竹刀を左または右に払って、相手の構えを崩すと同時に打ちこむ技のこと。
竹刀で孤を描くように払う。右手だけでなく手首をよく生かして払うようにする。
払う機会は相手の動く時、相手が出ようとしたとき、相手が引こうとする瞬間などである。
(3)出ばな技
出ばな技は相手が打ちこもうとし、また攻め込もうとする瞬間をすかさず打ちこむ技。
相手が攻めに集中している時がもっともよく決まる。
この一瞬は、技をしかけるのに絶好の機会です。たとえば、相手が小手を攻めようとして竹刀を下げて間合いに入ってきた瞬間に、こちらから面を打ちます。また相手が面を打とうとして自分の竹刀を上げかけた瞬間に、小手を打つ技です。
(4)引き技
つばぜり合いや体当たりなどであいてを近く接している時、自分が引きさがりながら相手を打つ技。
ただ引くだけでなく、相手の構えを崩すように工夫し、十分引いて打ちます。
機敏な動作で打撃を与えないと反対に相手に打たれてしまいます。
相手と向かい合ったとき相手のどこを見たらいいか述べなさい 剣道には相手を見ることを目付という。「遠山の目付」が必要だといわれる。
目は心の窓とか、目がものをいうとか言われるように、人の心の動きは目に表れる。
@ 剣道では相手の目を通してその意思を察することが必要
A 相手の剣先と相手の小手との2つの動きに注意することを「2つの目付」という
ここで注意しなければならないことは
相手の剣先や小手の動きに注意するという場合、剣先や小手を「見る」ということではない。
相手に視線の動きでこちらの意図とみすかされてしまう。
相手の目を見ながら、剣先や小手の動きに気を配ることを「2つの目付」という
B 相手が肩に力を入れると凝りとなって表れる。この凝りは「すき」なので、これを見逃してはならない。
※遠山の目付とは、相手をはるか遠い山から見るように、相手の構えの全体を見て調和がとれているか、どこに「すき」があるかを見破る目のことである。これらは剣道の稽古や試合においてきわめて大切なことである。
「稽古で心がけなければならないこと」とはどのようなことか述べなさい (1)竹刀の点検、準備運動、整理運動をはじめとした安全面に留意する。
(2)大きな目標や研究心をもって取り組む。
(3)礼儀作法を重んじる
(4)立会いの「初太刀」を大事にして、一本一本をおろそかにしないよう
 に、常に旺盛な気力で、精魂を込めて稽古をする。
(5)基本に忠実に稽古をする。
(6)しかけ技を積極的に使って稽古をする。
(7)稽古後は反省し、工夫・研究を怠らない。
「有効打突」について説明しなさい 有効打突は、剣道試合・審判規則第12条に、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものと規定されている。このような諸条件を満たした一本が有効打突となる。言いかえれば、気剣体一致の打突である。有効な打突は理合と残心からなっており、理合を要素と要件に分けると、要素には、間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴えが含まれる。要件には、姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋が含まれる。
残心は、打突後の身構え・気構えである。
「打突の好機」について説明しなさい (1)起こり頭
出頭、出鼻ともいい動作を起こそうとする瞬間
(2)受け止めたところ
相手が自分の打突を受け止めた瞬間
(3)居着いたところ
心身の活動がにぶり、動きが一時停滞した瞬間
(4)退くところ
相手が攻めに屈して退こうとした瞬間
(5)技の尽きたところ
相手の技が一時中断し、体勢を整えようとする瞬間
「掛り稽古の目的」を述べなさい 掛る側は、打突の成否などを一切、念頭に置かず、積極的に相手を責め崩して打突の機会を作り、短時間のうちに気力、体力の限りを尽くして、全身を使って大きく伸び伸びと「しかけてゆくわざ」を用いて打ちこむ。技術と心肺機能の向上を図り、気力や体力を練り上げる稽古法である。
「稽古の心構え」について述べなさい (1)竹刀の点検、準備運動、整理運動をはじめとした安全面に留意する。
(2)大きな目標や研究心をもって取り組む。
(3)礼儀作法を重んじる
(4)立会いの「初太刀」を大事にして、一本一本をおろそかにしないよう
 に、常に旺盛な気力で、精魂を込めて稽古をする。
(5)基本に忠実に稽古をする。
(6)しかけ技を積極的に使って稽古をする。
(7)稽古後は反省し、工夫・研究を怠らない。
日本剣道形で使われている「五つの構え」について書きなさい (1)上段の構え(天の構え、火の構え)
正面から相手を威圧する構えで、自分に少しのスキを作らないようにする
同等以上の相手に対しては不利な場合がある
打ち下ろすのみ、片手を伸ばすだけで打てる、間合いが遠くても打てる、等の有利さがある
左上段の構え(左手が柄頭):左足を約半歩踏み出し、上げた左手のこぶしの下から相手を見下ろすように竹刀を頭上に振りかぶる。竹刀の剣先はやや右に片寄る。
右上段の構え(右手が柄頭):右足を約半歩踏み出し、竹刀を振りかぶり、右手こぶしの下から相手を見下す。剣先は左に片寄る。右利きの人が構えるのが有利だが、打突後中段に構える際に不利となる場合がある。
なお、右上段では左手に柄頭、右足を前に出して構える場合もある(剣道形一本目の仕太刀に相当)
(2)中段の構え(晴眼、正眼、青眼、人の構え)
剣道の構えの基本で、最も一般的な構えであり、間合いの遠近を問わない
剣先は喉元から相手の左目よりも高くならないように構える
左手の柄頭の握りは、自分のへそから約人握り離して持つ
両足を約半歩踏み開く
右足を前にして自然歩行のまま立ち止まった足の位置
攻守ともに自由に実施でき、最も確実安全で、相手のどのような変化にも応じられる構えであり、攻めてこちらから動きを起こすにも都合がよい体勢である。
(3)下段の構え(地の構え)
間合いの遠近に関係なく、竹刀の延長線を相手のへそ下から足先までの間につける。竹刀の先の位置により、へそ下段、すね下段、足先下段とも言われる。
防ぐにはよい構えだが、攻めの打突には竹刀を大きく動かさなければ打突に移れないため不適当である
普通は竹刀の延長線を相手のひざ当たりにつける
(4)八相の構え(陰の構え)
相手の変化に応じる構えで、右足を約半歩踏み出し、左上段の構えを取る心持ちで竹刀を頭上に振りかぶり、静かに右肩に下ろす
右こぶしは右肩の位置、つばは口元の高さとする
左右のひじは自然に力を抜き、体は右斜めに向けて、頭・顔を正面に向け、竹刀はやや右方に傾け、竹刀の弦が視界に入るようにする(刀の場合、刃が右前方に向く)
上段と同様に堂々と相手を威圧する構えである
(5)脇構え(陽の構え)
相手をよく見て、相手の変化に応じる構えである
右足を約半歩退きつつ、竹刀の弦を上に向け、剣先で後方に半円を描くように回して右脇に構える
竹刀の長さを隠し、柄頭だけが相手に見えるようにする
体は右斜めに向け、頭、顔は正面を向く
右手は軽く上から添えるように持つ
「竹刀を点検するときの要点」を書きなさい 稽古中、試合中に竹がバラバラになり、相手にケガをさせないための観点で、常に安全な状態を保つ必要がある。
竹に、ささくれ、ひび、割れが無いかを見る。内側の割れは外からは気づきにくいため、適宜分解して確認するのが望ましい
先皮、中結、柄に破れが無いかを見る。
弦にほつれが無いか、弦に張りがあるかを見る。
上記以外にも、試合の規定(長さや重量)に従った適切な竹刀を選定することも重要である。
「二・三段の技」について説明し、主な技を書きなさい 二・三段の打ちは、最初の打ちが失敗したとき、相手にすきの生じた次の部位をすぐに打つ技を二段の技という。第二の打ちも失敗したら、すかさずすきの生じた第三の部位を打つ技を三段の技という。この技は、ひとつひとつを正確に、そして打ちと打ちの間が連絡しているように打つことが大切である。また、この技は成功するまで相手を攻撃する精神が特に必要である。
なお、二・三段の技は仕掛け技の一つであり、相手が打突の動作を起こす前に相手のすきを見て、またはすきを生じさせたところに打突する積極的に仕掛ける技(先先の先の技)である。
「切り返しの効果」について説明せよ 切り返しは、手のしまり、間合、足さばき、気合などの力をつけるために考えらている。
基本のわざの稽古では、一つ一つを確実に身に着けると同時に連続した動作の中でも決して崩れないように、自分自身の体に教え込むためのものです。一方、連続の基本動作とワザを組み合わせたのが切り返しです。
動作は「正面ー連続左右面―正面打ち」で行います。
これにより、@気検体が一致する、A手の内がしまって、ワザのさえが出る、B体の構えが正確になる、C動作や進退の動きが自由になる、という効果がある。
さらに、D体力、気力の増進と同時に、Eむだな、ぎこちない力がぬけ、F間合いがわかり、G決断力、勇猛心もやしなわれます。
よって、切り返しは剣道上達の上で絶対に必要なもので、試合稽古ができるようになっても、一回の稽古がすんだら必ずこの切り返しを行うようにします。
また、準備運動、整理運動としても有効です。
「残心」について説明せよ 「残心」とは、打突が終わったあとでも少しも油断せず、次に起こるどんな変化にも、ただちに応じられる心の構えと準備の態度のことです。
全身の気力を傾け尽くして打突したとき、自然に油断のない心が残ることをいいます。
例えば、コップの水を少しずつたらすと、一滴ものこりませんが、一気に思い切りぱっと捨てる(放心)と、コップの中に少し水が残ります。
このように、相手を十分に心残りなく打ち、打った後かならず少しの油断もない構えにかえることを「残心」といいます。
また、剣道試合・審判規則第12条に、「有効打突」とは、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものと規定されていとおり、有効打突の要件の一つとされている。
剣道で「礼儀を大切にする理由」について述べよ 礼儀は、わたしたちが人間として社会生活をしていくうえで、非常に大切なものの一つです。剣道は昔から「礼に始まり、礼に終わる」と言われてきたように、礼儀をとても大切にします。どんなにわざが上達しても、品格や人がらが下品であっては、ほんとうの剣道を習ったとはいえません。
剣道は武道の中でもはげしい性格をもっている格技で、一歩誤ると乱暴になりがちです。これを未然に防ぎ、行為に品格をもたらすものが礼です。この礼は形式だけのものであってはなりません。道場だけでなく、家庭でも、学校でも、どんなところでも、どのようなことがあっても、他人をあなどったり、卑屈になったり、ごうまんになったりするようなことがあってはなりません。どのような人に対しても、敬い尊び、礼をつくし、理解と協力の上に立って、規則と秩序を守ってい行く心構えを持つべきです。身体をきたえるとともに、お互いの礼儀をつくしてはじめて正しい剣道が成り立ちます。
「四戒」について説明せよ 四戒とは、「驚(きょう)、懼(く)、疑(ぎ)、惑(わく)」の四つをいい、剣道修行中に、この中の一つでも、心の中に起こしてはならないという戒めです。
@驚:「おどろく」。予期しない相手の動作に驚くと、一時、心が混乱し、正しい判断と適切な処置を失い、それがはなはだしいときは、呆然自失する場合があります。これでは勝負どころでは無くなってしまいます。
A懼:「気づかい」「恐れ」。恐怖の念が起こると、心の活動は止まり、はなはだしいときは手足がふるえます。これでは勝機をつかむことができません。
B疑:「あやぶむ」「あやしむ」。疑いのこころが起きると、相手の動きを見定めることができず、自分の心に決断がつかず、敏速な判断がつかず、素早い動作ができなくなります。
C惑:「心が乱れる」「思いあやまる」。迷い惑うときは心が混乱し、敏速な判断、すばやい動作ができなくなります。
剣道の勝負はわざだけでなく、心の動きに支配されることが多いため、常に四戒を心において修業する必要があります。
「剣道の理念および剣道修練の心構え」について述べよ 剣道の理念:剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である
剣道修練のこころがまえ:剣道を正しく真剣に学び、心身を錬磨して旺盛なる気力を養い、剣道の特性を通じて礼節をとうとび、信義を重んじ誠を尽くして、常に自己の修養に努め、以て国家社会を愛して、広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである
「指導者としての心構え」について述べよ 剣道の修練で指導者は最も重要な立場にあり、指導者が適切な指導をしているか否かは、指導を受ける者の人間的な成長や技術的な成長のすべてを決定しているといっても過言ではない。剣道は指導者と指導を受ける者とが、互いに身体をぶつけ合って修練することが多いので、指導者の人格や技の違いが、指導を受ける者に肌をとおして直接受け入れられ、影響を及ぼすことになる。基本的な心構えは以下の通り。
@確固たる信念と情熱、愛情と誠意をもって指導する
A指導を受ける者の人格と個性を尊重しながら指導する
B自らの人格を養い、信頼される指導者となるように努力する
C指導を受ける者とともに修練に励み、技能の向上に努める
D能率的・合理的は指導の研究を心がけ、指導を受ける者が理解しやすい指導の方法を研究する
E指導を受ける者の健康や安全に留意する
「足さばき」について説明し、「指導上の留意点」を述べよ 「足さばき」は、相手を打突したり、かわしたりするための足の運びdえ、体さばきの基本となるものである。「一眼二足三胆四力」という教えがあるように、剣道では足さばきが重視されている。
足さばきには、歩み足、送り足、開き足、継ぎ足がある。
@歩み足:前後に遠く速く移動する場合の足さばき
A送り足:前後左右斜め方向に近く速く移動する場合や、打突する場合の足さばき
B開き足:相手の打突に対して、体をかわしながら打突したりする場合の足さばき
C継ぎ足:遠い間合いから打突をする場合の足さばき
指導上の留意点は以下の通り。
@構えを崩さないように、腰を中心にしてできるだけ床と平行に移動させ、腰の上下どうさを少なくさせる
A上体や竹刀を動揺させないようにし、頭を起こして身体を柔らかくリラックスさせ、正しい姿勢で行わせる
B送り足は、送り込む足(後ろ足)が遅かったり残ったりしないようにさせる
C継ぎ足は、左足を引き付けるときに右足が止まりやすいので、相手の打突の機会を与えないように、左足を引き付けるや否や、直ちに右足を踏み出すようにさせる
D後ろ足のかかとが床につかないようにさせる。特に後退の際には十分に注意させる
1.「使ってはいけない竹刀」とは、どのような竹刀ですか説明しなさい。 (1)試合、審判規則に明示されている竹刀の基準以外のものを使用すること。年齢学年において、使用しする竹刀の長さ・重さが決まっている。自分の年齢にあった竹刀を使用する必要がある
(2)竹片がささくれたり、折損や亀裂などがあるもの。
(3)中結が切れていたり、先皮や柄皮が破れていたりするなど、付属品に破損があるもの。
(4)規格にあった付属品を正しく使用していないもので、先皮の長さやその直径が基準より小さいもの。
(5)中結を剣先より全長の1/4の位置に固定していないもの
・安全性の確保できていない竹刀。例えば、近年竹刀の中結近くが細い竹刀が大会で使用される例があったが、よく試合中に折れる事例があった
2.竹刀の「構え方と納め方」について説明しなさい。 (1)構え方
 剣道の構えには上段、中段、下段、脇、八相の5つが基本的に知られているが、ここでは一般的な中段の構え方について説明をする。
・「提刀の姿勢」:自然体の状態で、竹刀を左手に弦を下にし親指を鍔にかけず自然に提げる。
・「帯刀の姿勢」」:相手から目を離すことなく礼を交わした後、左手を腰に引き付け、親指を鍔にかける。
・「構え方」:右手で竹刀の柄の鍔元を上から握り、刀を抜く動作とともに右足をわずかに出し、抜いた竹刀の柄頭を左手で握り、剣先で相手の目から喉の間に剣先を向け同時に左足を引き付け構えの形にする。
 蹲踞での構えの場合は、右足を出すと同時に蹲踞の動作に入り、同様の順序で構えの動作を行う。
(2)納め方
中段の構えから、左手を竹刀から離して腰にとり、右手で剣先を左上から斜め後方に回し、弦を下にして腰にあて、左手で竹刀を握り「帯刀の姿勢」→「提刀の姿勢」と動作する。
蹲踞での納めの場合は、中段の構えから蹲踞し、上述と同じ動作で「帯刀の姿勢」まで行った後に、右手を股に置いて立ち上がり、「提刀の姿勢」を取って相手との礼を交わす。
いずれも、相手と合気になって行うことが大切である
3.「しかけていく技の種類」を3つ以上書きなさい。 (1)二、三段の技
最初の打ちが失敗したとき、相手にすきの生じた次の部位をすぐに打つ技を2段の技という。
第二の打ちを失敗したらすかさず、すきの生じた第三の部位を打つ技を三段の技という。
この技は一つ一つを正確に、そして打ちと打ちの間が連絡しているように打つことが大切。成功するまで攻撃する精神が特に重要
(2)払い技
相手の身構えがじゅうんできていて、打ちこむすきががないとき、相手の竹刀を左または右に払って、相手の構えを崩すと同時に打ちこむ技のこと。
竹刀で孤を描くように払う。右手だけでなく手首をよく生かして払うようにする。
?払う機会は相手の動く時、相手が出ようとしたとき、相手が引こうとする瞬間などである
(3)出ばな技
出ばな技は相手が打ちこもうとし、また攻め込もうとする瞬間をすかさず打ちこむ技。
相手が攻めに集中している時がもっともよく決まる。
この一瞬は、技をしかけるのに絶好の機会です。たとえば、相手が小手を攻めようとして竹刀を下げて間合いに入ってきた瞬間に、こちらから面を打ちます。また相手が面を打とうとして自分の竹刀を上げかけた瞬間に、小手を打つ技です
(4)引き技
つばぜり合いや体当たりなどであいてを近く接している時、自分が引きさがりながら相手を打つ技。
ただ引くだけでなく、相手の構えを崩すように工夫し、十分引いて打ちます。
機敏な動作で打撃を与えないと反対に相手に打たれてしまいます。
4.相手と向かい合ったとき相手のどこを見たらいいか述べなさい。 剣道には相手を見ることを目付という。「遠山の目付」が必要だといわれる。目は心の窓とか、目がものをいうとか言われるように、人の心の動きは目に表れる。
@???剣道では相手の目を通してその意思を察することが必要
A???相手の剣先と相手の小手との2つの動きに注意することを「2つの目付」という
ここで注意しなければならないことは相手の剣先や小手の動きに注意するという場合、剣先や小手を「見る」ということではない。「見る」ことで、相手に視線の動きでこちらの意図とみすかされてしまうからである。相手の目を見ながら、剣先や小手の動きに「気を配る」ことを「2つの目付」という
B 相手が肩に力を入れると凝りとなって表れる。この凝りは「スキ」なので、これを見逃してはならない。
※遠山の目付とは、相手をはるか遠い山から見るように、相手の構えの全体を見て調和がとれているか、どこに「すき」があるかを見破る目のことである。これらは剣道の稽古や試合においてきわめて大切なことである。
1.「稽古の心構え」について述べなさい。 (1)竹刀の点検、準備運動、整理運動をはじめとした安全面に留意する。
(2)大きな目標や研究心をもって取り組む。
(3)礼儀作法を重んじる
(4)立会いの「初太刀」を大事にして、一本一本をおろそかにしないよう
 に、常に旺盛な気力で、精魂を込めて稽古をする。
(5)基本に忠実に稽古をする。
(6)しかけ技を積極的に使って稽古をする。
(7)稽古後は反省し、工夫・研究を怠らない。
2.「打突部位」を書きなさい。 有効打突は、剣道試合・審判規則第12条に、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものと規定されている。このような諸条件を満たした一本が有効打突となる。言いかえれば、気剣体一致の打突である。有効な打突は理合と残心からなっており、理合を要素と要件に分けると、要素には、間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴えが含まれる。要件には、姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋が含まれる。
残心は、打突後の身構え・気構えである。
3.一本打ちの技について、「相手の剣先や手元 の変化によって打突する部位」を書きなさい。
4.日本剣道形で使われている「五つの構え」 について書きなさい。 (1)上段の構え(天の構え、火の構え)
正面から相手を威圧する構えで、自分に少しのスキを作らないようにする
同等以上の相手に対しては不利な場合がある
打ち下ろすのみ、片手を伸ばすだけで打てる、間合いが遠くても打てる、等の有利さがある
左上段の構え(左手が柄頭):左足を約半歩踏み出し、上げた左手のこぶしの下から相手を見下ろすように竹刀を頭上に振りかぶる。竹刀の剣先はやや右に片寄る。
右上段の構え(右手が柄頭):右足を約半歩踏み出し、竹刀を振りかぶり、右手こぶしの下から相手を見下す。剣先は左に片寄る。右利きの人が構えるのが有利だが、打突後中段に構える際に不利となる場合がある。
なお、右上段では左手に柄頭、右足を前に出して構える場合もある(剣道形一本目の仕太刀に相当)
(2)中段の構え(晴眼、正眼、青眼、人の構え)
剣道の構えの基本で、最も一般的な構えであり、間合いの遠近を問わない
剣先は喉元から相手の左目よりも高くならないように構える
左手の柄頭の握りは、自分のへそから約人握り離して持つ
両足を約半歩踏み開く
右足を前にして自然歩行のまま立ち止まった足の位置
攻守ともに自由に実施でき、最も確実安全で、相手のどのような変化にも応じられる構えであり、攻めてこちらから動きを起こすにも都合がよい体勢である。
(3)下段の構え(地の構え)
間合いの遠近に関係なく、竹刀の延長線を相手のへそ下から足先までの間につける。竹刀の先の位置により、へそ下段、すね下段、足先下段とも言われる。
防ぐにはよい構えだが、攻めの打突には竹刀を大きく動かさなければ打突に移れないため不適当である
普通は竹刀の延長線を相手のひざ当たりにつける
(4)八相の構え(陰の構え)
相手の変化に応じる構えで、右足を約半歩踏み出し、左上段の構えを取る心持ちで竹刀を頭上に振りかぶり、静かに右肩に下ろす
右こぶしは右肩の位置、つばは口元の高さとする
左右のひじは自然に力を抜き、体は右斜めに向けて、頭・顔を正面に向け、竹刀はやや右方に傾け、竹刀の弦が視界に入るようにする(刀の場合、刃が右前方に向く)
上段と同様に堂々と相手を威圧する構えである
(5)脇構え(陽の構え)
相手をよく見て、相手の変化に応じる構えである
右足を約半歩退きつつ、竹刀の弦を上に向け、剣先で後方に半円を描くように回して右脇に構える
竹刀の長さを隠し、柄頭だけが相手に見えるようにする
体は右斜めに向け、頭、顔は正面を向く
右手は軽く上から添えるように持つ
1.「稽古で心がけなければならないこと」  とはどのようなことか述べなさい。 (1)竹刀の点検、準備運動、整理運動をはじめとした安全面に留意する。
(2)大きな目標や研究心をもって取り組む。
(3)礼儀作法を重んじる
(4)立会いの「初太刀」を大事にして、一本一本をおろそかにしないよう
 に、常に旺盛な気力で、精魂を込めて稽古をする。
(5)基本に忠実に稽古をする。
(6)しかけ技を積極的に使って稽古をする。
(7)稽古後は反省し、工夫・研究を怠らない
2.「有効打突」について説明しなさい。 有効打突は、剣道試合・審判規則第12条に、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものと規定されている。このような諸条件を満たした一本が有効打突となる。言いかえれば、気剣体一致の打突である。有効な打突は理合と残心からなっており、理合を要素と要件に分けると、要素には、間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴えが含まれる。要件には、姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋が含まれる。
残心は、打突後の身構え・気構えである
3.「打突の好機」について説明しなさい。 (1)起こり頭:出頭、出鼻ともいい動作を起こそうとする瞬間
(2)受け止めたところ:相手が自分の打突を受け止めた瞬間 (3)居着いたところ:心身の活動がにぶり、動きが一時停滞した瞬間
(4)退くところ:相手が攻めに屈して退こうとした瞬間
(5)技の尽きたところ:相手の技が一時中断し、体勢を整えようとする瞬間
4.「掛り稽古の目的」を述べなさい。 掛る側は、打突の成否などを一切、念頭に置かず、積極的に相手を責め崩して打突の機会を作り、短時間のうちに気力、体力の限りを尽くして、全身を使って大きく伸び伸びと「しかけてゆくわざ」を用いて打ちこむ。技術と心肺機能の向上を図り、気力や体力を練り上げる稽古法である。
1.「竹刀を点検するときの要点」を書きなさい。 稽古中、試合中に竹がバラバラになり、相手にケガをさせないための観点で、常に安全な状態を保つ必要がある。
竹に、ささくれ、ひび、割れが無いかを見る。内側の割れは外からは気づきにくいため、適宜分解して確認するのが望ましい
先皮、中結、柄に破れが無いかを見る。
弦にほつれが無いか、弦に張りがあるかを見る。
上記以外にも、試合の規定(長さや重量)に従った適切な竹刀を選定することも重要である。
2.「二・三段の技」について説明し、主な技を  書きなさい。 二・三段の打ちは、最初の打ちが失敗したとき、相手にすきの生じた次の部位をすぐに打つ技を二段の技という。第二の打ちも失敗したら、すかさずすきの生じた第三の部位を打つ技を三段の技という。この技は、ひとつひとつを正確に、そして打ちと打ちの間が連絡しているように打つことが大切である。また、この技は成功するまで相手を攻撃する精神が特に必要である。
なお、二・三段の技は仕掛け技の一つであり、相手が打突の動作を起こす前に相手のすきを見て、またはすきを生じさせたところに打突する積極的に仕掛ける技(先先の先の技)である。
3.「気剣体一致」について説明しなさい。
4.「打ち込み稽古と掛り稽古の違い」を述べなさい。
1.「剣道が上達するための要件」を述べなさい。 ■理論的総合的なワザの研究を常に心がける
 一つ一つのワザを研究するのはもちろんだが、そのワザをバラバラに切り離しては、いくら上達しても次のワザ、別のワザとのつながりがうまくいかない。その場の状況に合わせて連続するワザにつなげられるよう研究をすること。
■合理的なトレーニングと絶えざる稽古に心がける
 おもいだしたような猛烈な稽古や、思い付きの研究をその場限りでやってみても実りのあるものにならない。研究と稽古の積み重ねが大切。
■身体の動き、筋肉の動きなど、無理のない自然な動きを重視して稽古する。
 動作はなめらかでリズミカルなものであることが剣道の場合でも大切です。一つ一つの動作がギクシャクしてはならない。全身的な腰を中心とした動きを常に心がけることが大切
■間合い、打突の機会を忘れることなく、左手が常に体の中心にくるように正確な打突を心がけること。
 基本の姿勢というものは、稽古になるとつい乱れがちになる。正しい姿勢と正しい間合い、それに基づく確実な打突ができるように稽古することが上達の基本
■先のワザ、特に正面打ちを心がけること。
 小さなワザより大きなどっしりとした正面打ちを自分の得意技になるよう常に意識して稽古することが大切
2.「足さばき」について説明し、「指導上の留意点」を述べなさい。 足の踏み方とさばき方は剣道だけでなく、あらゆるスポーツの基本中の基本となるものです。特に剣道においては足さばきは正しく確実な体勢と打突の前提となるため、しっかり習得する必要がある。
 まず踏み方、開き方は、その人によって多少の差異があるが、自然に歩くように
@右足を約半歩(大体一歩分の長さ)前に踏み出し、かかと紙一枚を敷いた程度に軽く上げ、
A左足も一歩幅だけ右足から離して踏み、軽くかかとを上げる
B膝を少し曲げて両足に体重を均等にかける(体の真下の床にかけるつもり)
足さばきには以下の4種類がある。
(1)送り足
 前進の時は右足から、後退の時は左足から、右への移動は右足から、左への移動は左足から行う
(2)歩み足
 普通に歩くときの足の動作です。4〜5歩の遠い間合いを詰める場合、引いたりするときに使い、左右や斜めの移動には使いません。
(3)継ぎ足
 大きく前進後退を行う場合での足さばき。左足を引き付けて、その勢いを利用して右足を大きく踏み込みます。左足を右足に引き付けたとき動きが止まらないようにしなければならない。止まると、相手に打ち込まれる機会となるの注意が必要。主に間が遠く飛び込んで打ち込むときにつかう。
(4)開き足
相手の打突をかわしたり、払ったりする場合に行います。右前に開く場合は、右足を相手の方向に向けながら右斜め前に出し、左足を右足に引き付けて、左腰を左後方にひねるようにして相手の方向に正しく向くことが大切。左に開く場合はこの逆になる。移動した直後に自分の打突が素早く行うための動作である。
指導の際には、大きく3点の注意点がある。
(1)右足、左足が一直線上にならないようにすること。体の安定感がなくなり、左右に揺れやすくなる。また、前進する場合に後ろ足が前足にもつれやすくなり、思い切った運動ができないからである。
(2)足先が外を向かないようにすること。前進後退がスムーズに行うことができず、また正しい構えができません。打突の際に足に無理な力がかかることがあるため、けがの原因にもなる。
(3)かかとが上がりすぎないこと。安定感が失われるだけでなく、攻防の場合の踏ん張りや踏み込みが効きません。
 以上のポイントは、自身ではわかりづらい場合があるため、指導者が気づいた時点で声掛けと共に、合理的な体の動かし方とともに正しい方法を指導する必要がある。
3.「攻め・崩し」について説明しなさい。 「中心を攻める」ことが基本であり、全ての技はその派生と考えられる.
払い、押さえ、捲きなどは相手の竹刀を物理的に中心からずらし、結果的に自分が中心を取る崩しです。また、鍔迫り合いの状態からであれば、相手の体勢を崩させ、打突部位を空けさせることもできます。
「打ち崩し」は、小手−面や突き−面、小手−胴など、打突そのものが崩しになっているものです。
1打目が外れる、もしくは相手に受けられた場合でも、少なからず相手は打突の衝撃で体勢を崩したり、ガードのために構えを崩したりします。そこにすかさず2打目を叩き込みます。いわゆる2段打ち、3段打ちのことです。体当たりからの引き技も有効です。
もちろん、中心を取り、自分の体勢の方が有利でなければ1打目を応じられてしまいます。あとは実際に相手に触れずに崩す方法ですが、間合いの詰め方、竹刀の動きがあります。
4.「抜き技」について説明し、「指導上の留意点」  を述べなさい。 打ち込んでくる相手に、体をかわして空を打たせ、相手の技や体の動きをつきたところをすかさず打つ技。うまくいくと、胸のすくような、すばらしい効果的な技となる。
抜く技には、足さばきで自分の体をかわして打つ方法と、間合いの利用で相手に不十分な技を出させ、その瞬間に打つ方法の2つがある。
よく利用できる技に、小手抜き面がある。相手が右小手を打ってくるところを右足から一歩下がり、同時に竹刀を大きく振り上げ、相手が小手の空を切るところをすかさず一歩踏み出して正面を打つ.胸のすくようによく決まる技。
5.「刃筋」について説明しなさい。 有効打突の要件として,剣道試合規則 第17条に「充実した気勢、適法な姿勢をもって竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心有るものとする」と記述があるように,一本を決めるための重要な要件である。刃筋とは、刃の通る軌道、道筋、方向のことで、刃の部分が正しく垂直に相手に向かっていって当たることを「刃筋が立つ」という。つまり真剣なら切れるような形で相手に刀を当てることで正しく切る作用を生じる.刃の横で打突しても相手を両断することはかなわない.竹刀の場合でも同様に刃部と弦にかけた直線状で打突部位に当てなければ相手を断つことはかなわない.竹刀で刃筋正しく打突するためには、右手により刃筋を制御するとともに、打突時の両手首の作用が重要となる.
6.「引き立て稽古」について説明し、「元立ちが留意すべきこと」を述べなさい。 ・引立て稽古
初心者や下位者に打突の方法、正しい基礎を教導する稽古である。
(1) 初心者を導き、剣道の正しい基礎を確立する。
(2) 悪癖を矯正し、長所を引き出し、早く上達させる。
(3) 長所、短所を発見させ、一段と高度の技を出させる。
以上を習熟会得させ、心と技の進歩強化を考える。
・留意点
正しい法にかなった打突をさせ、手応えの喜びを味わせる。
7.「日本剣道形を実施するときの留意点」について  述べなさい。 剣道の技術の中で最も基本となるもの。
・理にかなった正確な打突、機敏な動作、間合い、気合の習得、そして技の悪い癖を正します。
・ただ、肩の形式に落ちないで、その本当の意義を理解し、剣道の稽古や試合に応用して行けるよう身に付けていくことが大切。
8.「審判員の心得」について述べなさい。 ・剣道の審判員は、公正に両者の勝負を裁決しなくてはならない。審判とは「審(つまび)らかに判定する」(くわしく判定する)ということになる。
・何をつまびらかに判定するかというと、打突部位、気合、間合、理合、強度、刃筋、残心、姿勢などの要素や条件。
・審判員としての責任を自覚し、いやしくも混乱や身びいきを引き起こすことのないように心掛けなければならない。
・正しい審判だけが剣道の振興発展につながることを自覚して、公正、明確、果断、厳正に、しかもスムーズに運行することが大切。